君をひたすら傷つけて
 式場を出た瞬間に涙が零れた。祭壇に眠る義哉の姿は私に現実を見せつけるもので心を切り裂き、現実を切り刻む。そして、自分の部屋に帰るとまた泣いた。

 そして今日は義哉との最後のお別れの日。葬儀の日になっていた。義哉のお葬式はひっそりとしたもので、家族と親戚以外は病院の先生と私だけ。昨日のお通夜にはもう少し人は来たみたいだけど、今日のお葬式はひっそりとしていた。それでも、思いやりに満ちたいい式だったと思う。

 難しい挨拶もなく、眠っている義哉の周りに集まった人が思い出の話をする。

 式場に流れる音楽は高校生の男の子が好んで聞きそうな曲だし、離れたところに祭壇があるのではなく、花に囲まれているけど義哉との距離が近い。格式ばったお葬式よりもこっちの方が義哉は喜ぶと思った。

「藤堂さん。こっちにおいで」

 そう言ったのはお兄さんでゆっくりと私を誘う。そっと肩に腕を添えると、私をグッと義哉の前に引き寄せるのだった。家族でもない私がこんなに義哉の近くに行くのも申し訳ないと思うけど、義哉と会えるのはこれが最後だと思うと、思いが揺れる。

 戸惑い視線を揺らすと、義哉のお母さんと目が合った。
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