君をひたすら傷つけて
 そんな私の中で『お兄ちゃん』という存在が大きくなっていた。


 義哉の存在を共有してくれる唯一の理解者で私にとって特別な存在。私の苦しい気持ちを吐露するとそれを理解してくれ、一緒に思い出に浸ってくれる。

 お兄ちゃんも私と同じように『掛け替えのない弟』を失ったのだから、思いは私と同じかそれ以上に深い。でも、私と違うのは自分の道を真っ直ぐ歩いていることだった。仕事も前以上に頑張っているのが言葉の端々から分かる。お兄ちゃんなりに義哉に思いがありながらも、前に進もうとしている。

 立ち止まったままの私とは違う。
 私はお兄ちゃんのように強くはない。


 こんな私を義哉はどう思うだろうか?優しい義哉なら、もう少し義哉のことを思う時間を許してくれるはずと甘えていた。

『中華の店を紹介された。今度の接待で使おうと思っている。よかったら雅も一緒に行かないか?』

 月日の流れは『雅ちゃん』から『雅』と呼び方が変わっていく。


 そんなメールが私の元に届くと、すぐに私は返信をする。スケジュールは真っ白だからお兄ちゃんからのお誘いを私は断らない。『仕事の一環』という名目はあるけど、どう考えてもお兄ちゃんの優しさに他ならない。

 いい加減にしないといけないと自分でも分かっている。お兄ちゃんにはお兄ちゃんの生活があり、私がいくら辛いからと言って甘えていい存在ではない。でも、甘えていた。

 自分でも『依存』だと理解していた。
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