君をひたすら傷つけて
「止めないの?」

「どこに止める必要がある?雅が新しい世界に向かって羽ばたこうとしているのを私は見守りたい」

「今の生活で満足しているし、サークルも入ったし。今の生活でも精一杯なの。そんな私なのに留学とか出来るかな?フランスとか遠いし」

「雅なら出来る。それにフランスは飛行機が行ける距離だよ。雅が寂しいと言って私を呼ぶなら、いつでも飛んでいくよ。だから頑張ってみないか?」

 お兄ちゃんは止めてはくれなかった。むしろ背中を押されている気がするくらい。迷っているのにお兄ちゃんに言われるとなんとなく頑張ってみようかと思うのが不思議だった。でも、義哉の事もあるし、日本を離れた方がいいのか悪いのかさえ分からない。でも、気持ちは留学に傾いたのは事実だった。

「前向きに考える」

「その方がいい。人生は一度しかないから与えられたチャンスは無駄にしない方がいい」

「うん」

「それはそうと、まだ食事はしてないよな。どこかに食べに行くか?」

「お兄ちゃんの仕事は?」

「今日は緊急の事さえなければ何もない。美味しいものでも食べに行くか?」

「いいの?」

「ああ。一人で食べるよりは雅と一緒の方が楽しいし、美味しく感じる」
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