君をひたすら傷つけて
「お帰りなさい。リズから連絡貰っていたの。無事に帰ってくるか心配だったみたいよ。それと、雅のおかげでいい仕事が出来たって」

「ただいま。リズからの伝言。帰ったらスープが飲みたいって」

「うん。リズの好きなスープを作るわ」


 まりえの優しい花の香りで帰ってきたと思うのは私にとって安心できるからだった。日本人の割にはスキンシップが多い。でもその温もりが私は好きだった。最初は驚いたけどそんな温もりに包まれるのも慣れた。華奢なまりえなのにその細い腕をいっぱいに広げて私を抱きしめる。

「雅も疲れたよね。お疲れ様」

「でも、そんなに何も出来なかったの」

「そうなの?」

 リズもスキンシップは多い方でそれにも慣れた。最初はどうしても外見は女でも性別は男ということが気になった。でも、今はそれも気にならない。男であろうと女であろうとリズには変わりがない。それに女の私よりも余程女らしいから私の方が教えられる事ばかりだった。

 一緒に住むのがまりえとリズでよかったと思う。

 そんな私にとって『雅のおかげでいい仕事が出来た』というリズの言葉は嬉しいことだった。慣れない現場で正直、リズに迷惑を掛けただろうし役には立ててないだろう。それでも、私なりに無我夢中に頑張った。リズはそれを分かってくれていた。


「何をしていいか分からなくてリズの指示がないと何も出来なかったの」

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