君をひたすら傷つけて
 まりえにそう言いながら自分の今日の動きを思い出していた。正直、必死だったけど冷静になってみたらもう少しリズの役に立てたかもしれないとさえ思うほど。

「でも、リズは雅に感謝していたわ。コレクションはどうだったの?少しはステージを歩くのは見れた?」

 リズの手がけた今日のコレクションは凄かった。煌びやかな世界の裏は戦場並に激しく白熱している。綺麗なドレスをモデルが着て歩くだけと思っていたけど、それは全く違った。モデルの一歩にどれだけそのドレスを綺麗に魅せるかという意気込みが感じさせられた。

 モデルは素晴らしいスタイルに人目を惹きつける雰囲気を醸し出している。自分の姿に存在感に自信を持っていた。雑踏に包まれた会場ではゆっくりとみるという感じではなかった。

「会場に行ったらスタイリストの一人が遅れることが分かって、急にリズの仕事が増えたの。だから、バタバタしていたのでコレクションは控え室から出ていくところしか見れなかった。でも、一つのものを作り上げようとする気迫が凄かった。リズが凄かったし、リズの友達であることを誇りに思えた」

「そっか。雅だけでなくリズは頑張ったんだね」

「うん。リズは凄かった」

 まりえの言葉に私は今日一日のことを思い出していた。コレクションの熱気に負けないくらいのリズの情熱。そして、一緒に作り上げるという感じが心地よくて、自分が出来たことなんて少しなのに、それでも身体に残る熱がまだ冷める気配はない。指先にピリピリとした感触も忘れられない。
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