君をひたすら傷つけて
 この人は私に何を言いたいんだろう。リズのこの世界で仕事として会社と立ち上げている身だ。そんなリズは私にとっても尊敬できる人であるのは間違いない。

「リズをよく知っているのですね」

「この世界にいて知らない方が可笑しい。彼女の才能は作品を一段階上にあげ、周りを動かす。デザイナーが精魂込めて作ったドレスを紹介するのがモデルとするなら、最大限のプロデュースをするのがリズだ。スタイリストとしての域は越えていると俺は思うよ。彼女がするメイクもヘアセットはデザイナーの思考を覗いたのではないかと思うくらいに精巧に再現される。それが心地よくてデザイナーがリズにスタイリングを依頼する」


 アルベール・シュヴァリエの言うとおりだと思った。リズはこの世界で余りにも有名なスタイリストでリズを専属にしている俳優や女優も数多くいる。小さな個人事務所なのに業界の大物がリズの顧客だった。それはリズのセンスと努力がモノを言う。でも、私にはリズが何を求めているのか分からない。それに、学校で習ったことと現場との違いに戸惑っている。

「私は何をしたらいいのかわからない。リズが私に何を望んでいるのかも」

「それは君がまだ、リズが何を求めているのかを感じ取れないだけだよ。実際に前のコレクションの時にスタッフの一人として入っていただろ。その時はがむしゃらだったかもしれないけど君は出来ていた。だから今回も大丈夫。

 君なら出来る。俺はそう思う」
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