君をひたすら傷つけて
 リズと一緒に仕事をしていく限り、どこかのコレクションの会場で会うことになると思う。リズは有名なスタイリストだし、アルベール・シュヴァリエは将来有望なモデル。この世界で生きて行こうと思うなら彼とはこれからも接点があるかもしれない。

 でも、それなら藤堂でいいと思う。

「なぜ、私に構うのですか?シュヴァリエさんなら、私のようなアシスタントを相手にしなくてもいくらでも素敵な女性はいるでしょう」

「君と話したいと思ったらダメなのかな?アシスタントもモデルも変わらないと思うよ。一緒に仕事をする仲間だからそれ以上でもそれ以下でもない。誰もが一つのコレクションを作ろうと頑張るだけだろ。俺は雅と話したいと思ったから話に来た。俺が誰と一緒にいるかなんて決めるのは俺だろ」

「でも、私にも自由はあります」

「雅は俺と友達になるのもダメなの?少しだけ有名になってしまったモデルは友達としては駄目ってこと?」

「駄目ではないですけど、私である必要もないと思います」

「さっきも言ったけど、俺が誰と一緒に居たいかを決めるのは俺だよ」

 そう言われてしまうと何も言えなくなってしまった。

「俺が傍に居るのが迷惑?」

「そんなことは無いですが」

「なら一緒に月を見ながらワインを飲んでもいいよね」

「……はい」
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