君をひたすら傷つけて
「さ、この話はここまでにしましょ。サンドイッチはもう少し残っているけどどうする?」

「今はいいかな。リズが帰ってきたら一緒に食事したいし」

「そうね。今日の反省は今日のうちに終わらせて、明日は明日で頑張りましょ」

 まりえは包み込むような優しい微笑みに何度励まされてきたことだろう。私を友達として大事に思ってくれているからの言葉。義哉のことを思い続ける私にアルベールのことを真剣に考えるように言う。

 アルベールのことを私は好きだった。もしも、義哉への思いが無かったら、私は喜んでアルベールの思いに応えたと思う。でも、義哉は今も私の心の中で綺麗な微笑みを浮かべている。忘れられるとも思えないし、それでいいと私が思っている。

『雅……』

 目を閉じれば目蓋の裏に鮮やかに昨日のことのように甦る。微笑む義哉に何度も恋をする。こんなに好きで堪らないのにもう居ない残酷な時間を私は過ごしている。幸せと思うこともあるのに、こんなにも思い出すと心が痛み、今も『色褪せぬ恋』がここにある。

「好きになれたらいいのにね。自分の不器用さが嫌になる時もあるのよ。でも、忘れられないの」

 そんな言葉を零す私の身体をまりえはそっと抱き寄せ、まりえの温もりの優しさが私を落ち着かせてくれるのだった。

「雅が大事よ」
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