君をひたすら傷つけて
 ワインのボトルは二本目に入っていた。かなりいいワインだったので口当たりがよく一本目は飲み干した。二本目は簡単にコルクが抜かれ、グラスを満たしていく。

 二人で飲むには多い量で私も酔っている。でも、ワインを飲みなれているアルベールが酔っているとは思えない。驚いてアルベールを見つめるとアルベールはニッコリと微笑む。さっきの言葉は聞き違いだったのか、空耳だったのかと思うほど…。

 慰めるの意味はどのような意味なの?

「朝までいいよ」

「え?」

「雅。何を想像した?」

「何をって」

「朝までワインを飲もうかと思っただけだけど」

 アルベールの顔は意地悪な輝きを見せている。男の人に免疫のない私をからかったのだと分かる。キッと睨むと…アルベールが笑いを噛み殺して肩を揺らしている。アルベールという人はたまにこんな風に子どもみたいなことをする。

「また騙されたわ。いきなり言うと吃驚するじゃない」

 あまりにもアルベールが私に零す瞳が余りにも色香を増していて、心臓がドキッと音を立てた。冗談だと分かっているのに、それに反応してしまうほど私はアルベールの魅力に囚われている。

 なんて魅力的は人なんだろう。

 からかいながらも内面から優しさが滲み出ている。

 私はドキドキしていた。
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