君をひたすら傷つけて
 静かに喉を流れるペットボトルの冷たい水がこんなにも美味しいものなのかと思った。ワインを飲んでも身体は水分を欲しているようだった。ペットボトルの水は飲みなれているものにいつもとは違い、喉を潤しながら、身体の細胞にまで潤う気がする。

 これぐらいで酔いは醒めないけど、でも、少しだけ楽になった。

「とりあえず寝る」

「そうね。その方がいいわ。起きたらおかゆでも作ってあげるから」

「うん。あのさ、まりえは楽しかった?」

「そうね。楽しかったわ。盛り上がったし。それとリズが今日帰ってくるって。今日の夜は三人で過ごしましょって」

「明日じゃないの?」

「今日帰るって」

「うん。それまでに身体からワインを抜く」

「抜かなくても大丈夫。ワインをどうせ飲むんだから」

「それは死にそう」

「ほら、早く寝て」

「うん」


 私はヨロヨロと立ち上がると私は自分の部屋に行き、服も着替えずにそのままベッドに潜り込んだのだった。ベッドに入っても頭の中は回るし、グラグラ揺れるし、異様に喉は渇く。ベッドの脇に置いていたペットボトルの水を飲みながら、目を閉じる。そんなのを繰り返しているうちに私はいつの間にか寝てしまっていたみたいだった。

 私が起きたのは酷い頭痛が目覚まし時計のように頭の中で響く。薄らと目を開けると…部屋の中は薄暗い。帰ってきたのは明け方で…今はどうみても夜。

 私はどのくらい寝ていたのだろう。
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