君をひたすら傷つけて
 私は身体を起こすと昨日飲んだ量の割には二日酔いはない。苦しくなるような痛みもない。喉の渇きを癒すためにキッチンでペットボトルとの水を飲むと、フッと息を吐いた。それにしてもお酒は怖い。ついでにいうと、昨日のことを事細かに覚えている自分も怖い。

 お兄ちゃんの部屋で飲みたいだなんて大胆すぎる言葉に違う意味で心臓が嫌な音を立てた。頭の中で『どうしよう』という言葉がグルグル回り携帯に手を伸ばし画面を見つめ、溜め息を零した。自己嫌悪というのが一番合う。

 でも、今日はお兄ちゃんと一緒に出掛ける予定。

『おはようございます。今、起きました』

 余りにも飾り気のない言葉に送った後でまた溜め息を零した。でも、すぐに携帯が震え、メールの着信を知らせた。

『おはよう。今日は大丈夫か?大丈夫だったら30分後に迎えに行くけど』

 大学に入った頃の私はお兄ちゃんから連絡を貰ってそんなに時間が掛からずに準備を終えることが出来たけど、今はそんなに早く準備が出来ない。シャワーも浴びたいし、化粧もしないといけない。

『ごめんなさい。一時間後で』

『了解』

 私は携帯をベッドの上に放り投げるとバスルームに駆け込んだ。ベッドを降りて、バスルームに行く時にも床が揺れるような酔った感覚はなかったのでシャワーを浴びて、急いで化粧をすると、私の予想通りに一時間後になっていた。
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