君をひたすら傷つけて
私はリズに会えることを思い、顔が緩むのを感じた。アルベールに手を振ってアパルトマンのドアに手を掛けた瞬間だった。腕を後ろにギュッと引かれ、私の身体は包み込むようにアルベールのしなやかな腕に包まれていた。背中にアルベールの身体を感じ、耳元に甘い吐息を感じた
一瞬の出来事で自分の状況を理解するのに時間が掛かってしまう。酔った勢いでふわっと抱き寄せられたことはあった。でも、これは違う。
ギュッと抱きしめられている。
「雅。好きだ。君を誰よりも愛してる」
空気が痺れるように震わせるアルベールの声は私の耳に甘い吐息と共に届けられる。これはアルベールの『本気の声』。冗談とか酔った勢いとかでなく、静かに真摯に届けられるものだった。
私はその真剣な思いに胸がキュッとなったのは嘘じゃない。このまま頷きたいと思ったのも嘘じゃない。アルベールのことは好きだった。
でも、頷けなかった。それはアルベールの思いが本気だと分かったから簡単に言葉に出来なかった。
私はアルベールを傷つけるのが怖い。恋を、愛を追うことがどれだけ苦しいか私は知っている。もしも、アルベールの思いに応えたとしても、結局、私は義哉を愛したようにアルベールを愛することは出来ない。
それが分かっているから…。私は頷けなかった。優しいアルベールを傷つけることはしたくなかった。
一瞬の出来事で自分の状況を理解するのに時間が掛かってしまう。酔った勢いでふわっと抱き寄せられたことはあった。でも、これは違う。
ギュッと抱きしめられている。
「雅。好きだ。君を誰よりも愛してる」
空気が痺れるように震わせるアルベールの声は私の耳に甘い吐息と共に届けられる。これはアルベールの『本気の声』。冗談とか酔った勢いとかでなく、静かに真摯に届けられるものだった。
私はその真剣な思いに胸がキュッとなったのは嘘じゃない。このまま頷きたいと思ったのも嘘じゃない。アルベールのことは好きだった。
でも、頷けなかった。それはアルベールの思いが本気だと分かったから簡単に言葉に出来なかった。
私はアルベールを傷つけるのが怖い。恋を、愛を追うことがどれだけ苦しいか私は知っている。もしも、アルベールの思いに応えたとしても、結局、私は義哉を愛したようにアルベールを愛することは出来ない。
それが分かっているから…。私は頷けなかった。優しいアルベールを傷つけることはしたくなかった。