君をひたすら傷つけて
 もしもはない。

 私は義哉に出会い、恋をして。そして、今も恋をしている。そんな私でもいいと言ってくれるアルベールの傍に居ようと思ったのは…。アルベールを幸せにしてあげたいと思う気持ちが私にもあるからだった。

「明日。会える?仕事が何時になるか分からないけど」

「明日は雑誌の撮影がある。俺も終わったら連絡する」

 そう言ったアルベールの顔には優しい微笑みが浮かんでいた。好きになりたいと思った。もっと好きになって、この優しさに応えたいと思った。そうは思いながらも私の心の奥底には義哉の微笑みが焼き付いている。

 この思いは一生消えないから…不安でもあった。私の思いはアルベールを間違いなく傷つける日が来るだろう。

「さ、夜も遅いからもう帰るよ。雅もよく寝るんだよ。それと、明日と言っても今日だけど楽しみにしているよ。時間が空いたら連絡する」

 アルベールはもう一度確かめるかのように私を抱き寄せる。アルベールの背中に私は自分の腕を回さないといけないと思いつつも、それが出来なくて…。

 いつもと違うアルベールの優しい温もりに今まで以上に優しい声が耳に届いた。

「おやすみ」

「おやすみなさい」
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