君をひたすら傷つけて
 本当ならスタッフとして参加している私の方からアルベールの所に挨拶に行かないといけなかったのに手際の悪さが恨めしい位に仕事が残っていて、バタバタしているうちにモデルであるアルベールが目の前にきていた。

 明日はリズに言って、一日仕事を入れないようにしていた。それを早くアルベールに言わないといけなかったのにまだ言えてなかった。言った後で、その決定を変えることほどアルベールを傷つけることはない。だから、気持ちが固まってからアルベールに言うつもりだった。

 少し時間は掛かったけど、私は自分で言うつもりだったけど、アルベールを動かしてしまった。目の前のアルベールはいつも通り笑っているけど緊張が碧眼に映っている。

「明日。迎えに来てくれる?買い物をしたのを持ってくれないと私一人で運べないから」

 私の言葉の意味が分からないほどアルベールは鈍感じゃない。私の言葉に少し眉をひそめてから、静かに言葉を響かせる。周りにいる人に聞こえないくらいの小さな声だった。アルベールと私の恋は隠されたものではない。それでも囁くような小さな声を出すのはアルベールの優しさだった。
 
「雅。いいの?」

アルベールの顔に浮かぶのは真摯な色。その気持ちに応えたいと思った。
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