君をひたすら傷つけて
 高取くんが素直に謝るとお兄さんは途端にホッと表情を緩めた。優しい微笑みを浮かべ心底ホッとした顔をする。その優しい笑顔にドキッとしてしまった。


 高取くんは大事にされている。


「藤堂さんだったね。弟がまたお世話になったみたいだね。家まで送るので車に乗ってください」


「いえ。自分で帰れます。まだ、時間も早いですし」


 始業式とホームルームしかなかったからまだ午後になったばかりの時間だし駅までの距離もそんなにないし、一人で帰れる。これが夜遅くならお願いしたかもしれないけど、車に乗せて貰う方が緊張してしまう。


「それでは駅まででも送らせてください。それならいいでしょ。今日は寒いですし、義哉だけ乗せて女の子の藤堂さんをここに置いていくなんて出来ません」


 困ったことになったと思った。


 このまま一人で帰る方がどれだけ気持ちが楽か分からない。でも、もしここで断ってしまったら、高取くんは私を一人で帰らせてくれるだろうか??頭の中でいくつかのパターンを考えてみたけど、どのパターンでも私は折れることになる。私がいつもの下校時間から遅くなったのは高取くんを学校案内していたからでその私をこのままにはしてくれないだろう。


 何が一番いい答えなんだろう。


 それが私には分からない。

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