君をひたすら傷つけて
「私も」

 唇に温もりを感じ、身に着けていたものをゆっくりと解かれていくと私はリズのプレゼントに包まれているだけになった。そっと触れる指先が止まった。

「これはリズのイジワルか?」
「……」
 
 可愛いけど少し色香を誘うような下着は暗がりでよかった。そうでないと、触れるだけで分かるほどのものは光の中では恥ずかしいを通り越して、真っ赤になり爆発させるだけだろう。胸元のリボンを解くだけで触れる空気の感触に身が強張ってきた。

 そして、生まれたままの姿になった私をアルベールは抱き寄せた。

 アルベールの肌は滑らかなのに、その下にあるのは男の人としての骨格だった。見た目は華奢で繊細なのにやはり女の人とは違う。しなやかな筋肉が肌の下にはあり、鎖骨から胸板までのラインは仕事で何度も見たことがあるのに触れるとこんなにも違うものだった。

 目の前に色香を纏うアルベールがいる。綺麗なだけではない男の人の顔だった。

「アルベール」

 私の唇から首筋に顔を埋めたアルベールは私の声に優しく反応する。優しく抱き寄せられ、ゆっくりと髪を撫でられた。

「私はどうしたらいい?」
「何もしないでいいよ。俺を感じてくれれば」

 微かに震える身体はアルベールの身体で優しく包まれ、少しの怖さも掠め取られるようだった。次第に熱くなる肌に、甘い声が落とされ、何度も愛を囁かれ、何度も口付けを交わしていくと私は徐々に何も考えられなくなった。
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