君をひたすら傷つけて
アルベールはドアを後ろ手に閉めると電気を付けないまま私の傍に来て横に座った。カーテンの引かれてない窓からは月が見えている。月は綺麗な半月だった。それでも、月の光を十分に楽しむことは出来ていた。

「ワイン飲むなら、持ってこようか?」
「月を見ながら?」
「雅が落ち着かないみたいだから。いや、俺が落ち着かないからかな」

 アルベールはフッと息を吐くと腕を伸ばすと私の身体をそっと引き寄せた。私と同じシャンプーの香りがする。そして、爽やかな香りが私を包んでいく。

「ワインはいらないから」

 私がそういうと、アルベールは綺麗な指で私の髪を漉き、背中をスッと撫でる。その気持ちよさに背中を伸ばすとアルベールの唇と私の唇がゆっくりと重なった。角度を変えながら徐々に深くなるキスにさっきのワイン以上に酔っていく気がした。

 与えられるキスの甘さが身体を痺れさせていく。指の先までも全部アルベールに染まっていく。私の身体をギュッと抱き寄せるアルベールの胸からは激しく心臓の音が響いてくる。その音の激しさは私を思ってくれる気持ちで言葉以上に気持ちが伝わってきた。

 私の身体に触れる手がゆっくりで少し躊躇いを感じさせる。私は目を閉じたままアルベールのキスに酔い、次第にアルベールの身体にも熱が籠っていくのを感じていた。
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