君をひたすら傷つけて
「雅。俺からのメール見てないのか?」
「え?メール?」

「昨日の夜。雅の携帯にメールしておいたろ。空港に迎えに行くって。返信ないからもしかしたら見てないかと思ったけど」

 昨日は仕事が終わった時に確認して、その後、アルベールのマンションに行ったので、その時に電源は切っていた。その後は電源を入れないままで飛行機に乗ってしまったのでお兄ちゃんからのメールは見ていない。

「ごめんなさい。見てなかった。でも、なんで?お兄ちゃん。仕事は?それに何でこの時間ってわかったの?」

「仕事は大まかなものは終わらせてきた。フランスからの直行便は限られているだろ。この後の便は到着が遅いし、かといってその前の便なら出発が早すぎる。そうなるとこの便の辺りしかないと思った」

 航空券と取る時にあんまり遅い時間に日本に着くと大変だと思っていたし、かといって早い時間に行くのは仕事が終わってからだと乗り遅れない自信がなかった。

 でも、この時間じゃなかったらお兄ちゃんは無駄な時間を過ごすことになってしまうのではないかと思う。結果的には良かったけど、きちんと時間を確認しないで動くなんてお兄ちゃんらしくない。

 でも、迎えに来てくれたのは嬉しかった。

「迎えにきてくれてありがとう」
「雅が日本に帰ってくるのに、迎えに来ないわけないだろ」

 私が日本に居た時と全くお兄ちゃんは変わらない。

 「荷物はそれだけ?」
 「後の荷物は明日にマンスリーマンションに届くの」
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