君をひたすら傷つけて
「そうか。ならいいけど」


 私はアルベールのことを考えていた。


 今頃、何をしているのだろうか?仕事で撮影なのか?それともコレクションの準備?離れたからか、フランスに居る時よりもアルベールのことが気になる。会えるのは一か月後だけど、それまでに私はもっとアルベールのことを好きになっているような気がする。


 マンションに落ち着いたらアルベールにメールをしよう。
 パソコンでスカイプをするのもいい。


「雅」


 アルベールのことを考えていると、不意に横から名前を呼ばれた。窓から視線を移しお兄ちゃんを見ると、真っ直ぐ道路の先を見つめたまま、ふと優しい言葉を零した。



「おかえり。…空港で言えなかったから」

「ただいま。お兄ちゃん」



 次第に夕日が傾いていて、自分が想像していたよりも日の入りが早い。次第に夜の帳が降りてくる。そんな中、お兄ちゃんの車はまっすぐ都心に向かって走っていた。
< 497 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop