君をひたすら傷つけて
 センター試験が終われば私立の試験もあるし、二次試験もある。暇もなければ余裕もないけど、さっき『今日放課後時間ないかな』って言った高取くんの瞳がいつもの優しいだけとは違っている気がした。

「遊びに?」

 私と誘う意味は何なのだろう。高取くんの真っ直ぐな瞳を見つめていると…頷くことしか出来ないんじゃないかって思うほどだったけど、私は首を縦に振らなかった。でも、横にも振れなくてただ、高取くんを見つめるだけだった。


 そんな私を優しく見つめ、高取くんはしっかりとした言葉を私に向ける。


「この街に来て、学校と家との往復ばかりでどこにも行ってないんだ。前に学校案内してくれた時みたいに、案内して欲しいんだ」

「案内?」

「うん。僕はここには二か月くらいしか居ることが出来ないから、その前に色々と見てみたいんだ」


 高取くんはあまりにも素の表情を見せすぎる。それが少し怖かった。


 単に横の席に座っているだけなのに、私は特別なんじゃないかと勘違いしそうになる。誰にでも優しい高取くんが横の席の私に酷い態度を取るわけはない。でも、それを特別と勘違いするのは危ない。

「道案内ね。それならいいよ」


「ありがとう。約束だよ」


 これが私と高取くんとの二つ目の約束だった。

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