君をひたすら傷つけて
「まだ、結婚とか考えてないわ。彼も今は大事な時だし」

「そうなのね。私も結婚は考えてなかったけど彼が大学を卒業して就職したら結婚すると言い出して、結婚することになったの。二つも年下だから結婚は先だと思っていたのよ」

「でも、まりえは結婚してもいいって思っていたから、プロポーズを受けたんでしょ。本当におめでとう」

「ありがとう。そのうち彼に会ってくれる?」

 そんな話をしているまりえと私の傍にエマさんがやってきてにこっと笑った。

「最初は立ち上げだけの手伝いでリズからまりえを紹介されたけど、数日間一緒にいて、一緒に仕事をしたいと思った。優秀なスタッフが居ないと仕事は上手くいかないでしょ。まりえは仕事に関する勘がいいから仕事がしやすい」

 エマさんが綺麗で強さを持ったところはリズと似ているかもしれない。二人の完全な違いは…エマさんが純粋に女性ということだけだった。

「まりえはお茶の準備をして事務所の整理。雅は私と一緒に仕事よ」

 まりえとの再会も束の間、私は荷物の詰まった隣の部屋に連れて行かれた。そして、バサッと紙の束を手渡されるとエマさんはニッコリと笑った。

「今週、事務的なことを終わらせて、来週は本格的に仕事を始める。その紙に書かれているのは来週の撮影で使う服や小道具なんかが書いてあるから、順に揃えてくれる?一応イメージで描いたけど違和感があったら、その都度手直しして、確認していく」

 そんな反論を許さないような綺麗なウインクを残してエマさんは行ってしまった。私の残された場所は広めの部屋で壁一面に配置された棚には段ボールが入っている。リズは立ち上げの書類の手伝いと言ったけど、エマさんの頭の中ではどうも違うと思い始めた。

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