君をひたすら傷つけて
部屋に入ってきたのはまりえで、あの時と同じようにドアから顔をのぞかせて笑う。そんな姿は懐かしい時間を思いださせた。

「うん。行く」

「雅。リストをくれる?」

 私が部屋から出ると同時にエマさんは部屋の中に入った。そして、テーブルの上に準備した洋服と小物に視線を移すと頷いた。洋服と差し色になる小物を選び、女優の体調を見て、小物の色を少し変えるつもりで色違いの小物を一緒に棚から取り出した。リストに入っているものは準備出来たと思う。

「リズと一緒に働いていただけあるわ。コンセプトの奥にあるものを見れている。合格ね」
「え?合格って?」

「日本での事務所の展開は私にとってもかなりの掛けなの。リズの紹介でも使えない人間はいらない。私の会社のスタッフは自分で選ぶから」

 たくさんの物の詰まった部屋で整理をさせながらリストを持たせたのはテストだったのだ。妥協を許さないところはリズに似ている。

「合格なら良かった」

 本当にそう思った。リズに色々教えて貰ったのに身に付いてなかったとなると申し訳ない。エマさんはリズと同等の実力を持った人だと思う。厳しさも一緒だと思う。

「ご飯が覚めちゃうから早く食べないとエマも早く食べましょ」

 まりえに急かされて席に着くと、クラブハウスサンドが置いてあった。ハムにやチーズ。トマトに新鮮なレタスを挟んであってその重なる味が美味しい。その横には野菜がたっぷり入ったコンソメスープも添えられている。

「久しぶりのまりえの料理は美味しいわ」
「それならよかったわ」

 三人でテーブルを囲んで始めた食事はこれからの展望と共にエマさんの野望も聞かされた。頑張らないといけないと思うことばかりだった。

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