君をひたすら傷つけて
 たった二か月だけの転校生。高校の卒業式は三月一日だから、二か月と言わず卒業までここにいればいいのにと思った。考えてみれば本当に可笑しな話だと思った。


「さやかの勘違いだよ。別に私が後押ししてもらう必要ないし。それに高取くんが優しいのは私だけではないし」


 さやかに言いながら私は自分に言い聞かせていた。今は受験のことが大事で恋愛なんかしている暇はない。そうは言いながらも頭の中は高取くんのことで埋め尽くされそうで、それを必死に阻む私がいる。


「そう?じゃあ、私の勘違いかな。ごめんね。雅」


「別にいいけど…。」


 そう言いながらも一気に熱くなった気持ちが収まる気配はなかった。恋じゃないと思う。そう自分で思う。恋というのはもっと幸せで温かいものに包まれるような感じのものだと思っていた。でも、恋には苦さも含まれているのかもしれないと思った。どうでないと私の心に走った苦みのような痛みを説明することは出来ない。


 でも、私のこの思いがさやかの勘違いではないと気付いたのは一段と寒さの増したある朝のことだった。

 その日の私は朝から少し勉強をして、数学の問題が解けず頭の中は数式でいっぱいだった。
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