君をひたすら傷つけて
「ならよかった。雅も前に比べたら随分変わったな。フランスに行って大人っぽくなったと思う。でも、外見や着る物が変わっても雅は雅だろ。それと同じでどんな服を着ていても俺もそんなに変わらない。さ、冷めないうちに食べよう」
確かにそうなんだけど…。今日の私は少しおかしい。
お兄ちゃんの『俺』という言葉にもドキッとしてしまった。
普段のお兄ちゃんは『私』とか『自分』とか言っていたのに、急に一人称を変えられるとそれもまた緊張してしまう。良く知っているお兄ちゃんなのに、知らない男の人のように感じてしまえるのは何故だろう。
たった『俺』という言葉なのに。
前菜に始まった簡単なランチコースには本格的なパエリアが付いていて、鼻を抜けるサフランの香りが前にフランスで食べた有名なスペイン料理の店を彷彿させる。その店にも匹敵するパエリアを日本で食べられるとは思いもしなかった。
フランスの店はスペインで有名な店の系列だったから、本物の味。ここのパエリアもそこの味に似ている。魚介から出る美味しさのエキスが味に深みを足していると思った。
「凄く美味しい。本格的な味。前にフランスで食べた店の味に似ているけど、こちらの方が優しい味がする」
「そうか。それならよかった。一度も来たことない店だったけど雅が気に入ったらよかった」
お兄ちゃんはそういうとまた嬉しそうに笑うのだった。
確かにそうなんだけど…。今日の私は少しおかしい。
お兄ちゃんの『俺』という言葉にもドキッとしてしまった。
普段のお兄ちゃんは『私』とか『自分』とか言っていたのに、急に一人称を変えられるとそれもまた緊張してしまう。良く知っているお兄ちゃんなのに、知らない男の人のように感じてしまえるのは何故だろう。
たった『俺』という言葉なのに。
前菜に始まった簡単なランチコースには本格的なパエリアが付いていて、鼻を抜けるサフランの香りが前にフランスで食べた有名なスペイン料理の店を彷彿させる。その店にも匹敵するパエリアを日本で食べられるとは思いもしなかった。
フランスの店はスペインで有名な店の系列だったから、本物の味。ここのパエリアもそこの味に似ている。魚介から出る美味しさのエキスが味に深みを足していると思った。
「凄く美味しい。本格的な味。前にフランスで食べた店の味に似ているけど、こちらの方が優しい味がする」
「そうか。それならよかった。一度も来たことない店だったけど雅が気に入ったらよかった」
お兄ちゃんはそういうとまた嬉しそうに笑うのだった。