君をひたすら傷つけて
「私。高取くんのことが好きなんです。藤堂さんのことが好きなら諦めます。でも、そうでないなら私と付き合ってくれませんか?」


「さっきも言ったけど、今は恋愛するつもりはないんだ。それに藤堂さんの事も誤解だよ。藤堂さんは隣の席で転校したばかりの僕にも優しくしてくれるんだ。だから、階段の所で荷物を持っていたから手伝っただけだよ。君だって、友達には優しくするだろ。勿論、藤堂さんのことは大事にしたいと思うけど、それは友達としてだよ」


 友達という言葉が私の胸に突き刺さる気がした。高取くんの中で私は少しの特別な存在なんかではなくて、ただの友達だというのが分かっているのに寂しく思ってしまった。現実はこんなにも胸が痛く苦しくなる。

「そうなんですか?」

「うん。友達。だから、藤堂さんは関係ない」

「そうですか。分かりました」

 そう言うと女の子は走って反対側の入り口から出て行き、高取くんも同じように反対側の入り口から出て行った。誰もいなくなった公園を見て私は自分が告白したわけでもないのに自分が振られたような気がした。


『高取くんが好き』


 自分の気持ちを気付いてしまった。そして、気持ちを伝える前に失恋してしまった。私に残されたのは『友達』という繋がりだけ。それを大事にしたいと思った。


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