君をひたすら傷つけて
「初めまして。篠崎海です。今日はお忙しい中ありがとうございます」

 会議室に入ってすぐ、篠崎さんは私達三人が立ち上がると同時に優雅に挨拶をした。そのノーブルな物腰にエマだけでなくリズも目を奪われていた。元モデルをしていたというだけあって、動きがとても滑らかで美しい。姿勢がスッと伸び、彼の美しさを強調している。

「いえ、こちらこそ。この度は当社にご連絡いただきありがとうございます。代表を務めます、エマ・ジョンソンと申します。すみません。日本語にはまだ慣れていませんので、今日は共同代表のリズと通訳の藤堂雅と一緒にお伺いさせていただきました」

「ありがとうございます。では、早速ですが、説明は高取からさせていただきます」

 そういうと、篠崎さんは自ら、私達をソファに座る様に促した。

 全員がソファに座ると、お兄ちゃんは手に持っていた袋から、資料らしき束を取り出すと、エマ、リズ、私、篠崎さんの順に並べると穏やかに微笑んだ。

「篠崎海の担当マネージャーを致しております。高取慎哉です。今日はお忙しい時にこちらまでお越しいただきありがとうございます。」

 初めて仕事の場で会うお兄ちゃんは穏やかな微笑みを浮かべていた。でも、それはいつも私と一緒に居る時とは違っていた。壁を感じた。この壁がプライベートかオフィシャルかの違いだろう。

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