君をひたすら傷つけて
「私が物心つく時に傍にはアルベールが居ました。
 私は優しいアルベールの事がずっと好きでした。年の差はありますが、それも成長すれば関係なくなると思います。アルベールにとって私は妹のような存在かもしれません。でも、私も成長し、アルベールの愛に応えられるだけの身体になったと思います。後継の大事な役目に子を成すことが重要視されます」

「後継ですか?」

「私の母は元侯爵家の流れを組む一族の出身です。アルベールが叔母の仕事を受け継いだ時にきっと私の家系が役に立つでしょう」
 
 アドリエンヌさんの言葉は衝撃だった。アルベールが好きで一緒に居たいとは考えたことはある。スタイリストとしてアルベールのモデルで輝けるように手伝いを出来ればと思ったこともある。でも、このアドリエンヌさんの言っているのは意味が違う。

「貴女はアルベールの愛人になるつもりでしたら構いません。歴代の当主にはそのような方がいましたので。それに私とアルベールには歴史があります。アルベールは私の初恋の人で誰よりも愛しています」

 愛人??私がアルベールの愛人??

 衝撃的過ぎて眩暈を起こしそうだった。でも、彼女が嘘を言っているようにも見えない。高級そうな衣服を身に着けた彼女が上流階級の一員であるのは違いないだろう。アルベールの話を聞かないと私は何も言えなかった。

「ここでお話ししていてもアルベールの話を聞かないと何もお答え出来ません。今日はもう帰って貰えますか?いきなり来て、色々言われても私も困ります」
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