君をひたすら傷つけて
 聖さんはリズの先制により最初は驚いたようだったけど、今はもう普通に戻っている。私は最初から女性のリズしか知らなくて、元は男の人だったと言われてもあまりピンと来ない。でも、昔の姿を知っている聖さんに取ってみれば驚き以外の何物でもないだろう。

「まあ綺麗だし、いいんじゃね。リチャードでもリズでも中身は変わらないだろ。それにしてもエマと二人で日本で事務所立ち上げとなると凄いな。手広くやっていくのか?お前らモデル辞めたの?」

「モデルは引退。今はスタイリストとして頑張ってる」

「モデルでもそこそこイケたと思うけど、引退してスタイリストで日本で事務所。で、篠崎海のスタイリングでニューヨーク?相変わらずだな」

「事務所の本拠地は欧州よ。だって歴史あるブランドもコレクションも多いし、何と言っても流行の発信地は欧州。でもね、日本の文化の美しさに魅せられたエマが日本で事務所を開きたいと言っていて、それの相談に乗っているうちに共同で事務所を開くことになったの。今回の篠崎さんの仕事は何というか……縁ね」

 聖さんとリズの話を聞いていたお兄ちゃんは納得したような表情を浮かべ、話の流れを追っているようだった。

「リズさんと橘さんがお知り合いなら話は早いですね。とりあえず、明日からの撮影をよろしくお願いします。スケジュールは過密気味ですが、妥協はしたくないと思ってます。海もこれからが正念場です。海を一番魅力的に撮影出来るのは橘聖をおいてほかに居ないでしょう」


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