君をひたすら傷つけて
篠崎さんはそんな少し弱気の言葉を溢しながら、控室を出て行った。篠崎さんについて、お兄ちゃん、リズさん、私の順で出ていくと、そこにはカメラを抱えた橘さんが待っていた。さっきまでたくさんいたスタッフは半分に減っていた。
「そろそろ日の出だ。時間にして数分しかないから。川の畔で空を向いて立って。それから適当に動いて」
「了解。聖に掛かっている」
「いや、俺じゃなく、お前だよ。海斗」
「じゃ、頑張るよ」
クスクス笑う篠崎さんは橘さんの指示の場所に立つと、魅惑的な表情を浮かべた。
「綺麗に撮ってくれ」
「俺はありのままにしか撮れないよ」
「それは残念」
指示は細かいのかと思ったが、そうでもなく、さっきまでの雑踏が嘘のように静まり返っていた。静かな空間に響くのはカメラのシャッターを切る音。川の先からゆっくりと群青色の空に一点の光が浮かび、その光が徐々に増えていく瞬間。
私は篠崎海という俳優の凄さを感じた。身体の周囲に光の粒を纏ったような、一瞬を掴む姿に、差し出した指の視線の先に。
橘聖はシャッターを切り続けた。時間にして10分弱。その間に何枚の写真を撮ったか分からない。ファインダー越しの視線は真っ直ぐで真剣だった。
そして、呆気なく撮影は終わった。
「また、明日。同じ時間から」
「俺に問題か?」
「そろそろ日の出だ。時間にして数分しかないから。川の畔で空を向いて立って。それから適当に動いて」
「了解。聖に掛かっている」
「いや、俺じゃなく、お前だよ。海斗」
「じゃ、頑張るよ」
クスクス笑う篠崎さんは橘さんの指示の場所に立つと、魅惑的な表情を浮かべた。
「綺麗に撮ってくれ」
「俺はありのままにしか撮れないよ」
「それは残念」
指示は細かいのかと思ったが、そうでもなく、さっきまでの雑踏が嘘のように静まり返っていた。静かな空間に響くのはカメラのシャッターを切る音。川の先からゆっくりと群青色の空に一点の光が浮かび、その光が徐々に増えていく瞬間。
私は篠崎海という俳優の凄さを感じた。身体の周囲に光の粒を纏ったような、一瞬を掴む姿に、差し出した指の視線の先に。
橘聖はシャッターを切り続けた。時間にして10分弱。その間に何枚の写真を撮ったか分からない。ファインダー越しの視線は真っ直ぐで真剣だった。
そして、呆気なく撮影は終わった。
「また、明日。同じ時間から」
「俺に問題か?」