君をひたすら傷つけて
「怖かった。それに、ニューヨークという場所も。でもね、実際に行ってみると橘聖は最初は驚いたみたいだけど、あとは普通だった。そして、母にも会ってきた」
「大丈夫だった?」
「男でも綺麗だといわれるように産んだのから、女になっても綺麗なのは当たり前。自由に生きてほしいとは思うけど、たまには会いに来いって言われた。もっと、罵られるかと思ったけど」
「あの日、会いに行ったのはお母さんだったのね」
撮影の合間に出掛けたリズが神妙な顔をしてたから、気にはなっていたけど、私は聞けずにいた。
「うん。あの姿で会ったのは初めてだったけど、一目見て分かったみたい。『綺麗じゃない。私の若いころにそっくり』と言われたわ。結局、自分が自分で縛り付けていただけ。雅もね。高取さんは最後はあんな風に見送りにくる。言葉は全てではないのよ」
私は席に身体を預けると目を閉じた。今までのお兄ちゃんなら、きっとフランスに行く前に食事にでも誘ってくれた。でも、今回はメールだけ。でも、こっそりと空港まで見送りには来てくれていた。言葉では突き放すようなことを言ったけど、お兄ちゃんは変わらなかった。
そして、私も変われない。
「お兄ちゃんが何を考えているのか分からないし、難しい」
「人の気持ちが簡単に分かる方が可笑しいわ。あの手の男はギリギリまで追い詰めないと自分の気持ちを言葉にできないでしょう。器用なのに不器用なのが彼の生い立ちにあるのかもしれないわね。たまには自分の気持ちを優先してもいいのに幸せになりたいと思わないのかしら?」
「篠崎さんがいるわ。篠崎さんはお兄ちゃんの事を分かってくれているから」
「それは仕事の上ででしょ。高取さんがプライベートで心から愛することが出来るってことを自分で気づかないといけないわ。そうでないと、彼は自分が恋をしていいというのに気づかないでしょう。誰もが恋をする権利はあるのに。高取さんはそれを放棄している」
「大丈夫だった?」
「男でも綺麗だといわれるように産んだのから、女になっても綺麗なのは当たり前。自由に生きてほしいとは思うけど、たまには会いに来いって言われた。もっと、罵られるかと思ったけど」
「あの日、会いに行ったのはお母さんだったのね」
撮影の合間に出掛けたリズが神妙な顔をしてたから、気にはなっていたけど、私は聞けずにいた。
「うん。あの姿で会ったのは初めてだったけど、一目見て分かったみたい。『綺麗じゃない。私の若いころにそっくり』と言われたわ。結局、自分が自分で縛り付けていただけ。雅もね。高取さんは最後はあんな風に見送りにくる。言葉は全てではないのよ」
私は席に身体を預けると目を閉じた。今までのお兄ちゃんなら、きっとフランスに行く前に食事にでも誘ってくれた。でも、今回はメールだけ。でも、こっそりと空港まで見送りには来てくれていた。言葉では突き放すようなことを言ったけど、お兄ちゃんは変わらなかった。
そして、私も変われない。
「お兄ちゃんが何を考えているのか分からないし、難しい」
「人の気持ちが簡単に分かる方が可笑しいわ。あの手の男はギリギリまで追い詰めないと自分の気持ちを言葉にできないでしょう。器用なのに不器用なのが彼の生い立ちにあるのかもしれないわね。たまには自分の気持ちを優先してもいいのに幸せになりたいと思わないのかしら?」
「篠崎さんがいるわ。篠崎さんはお兄ちゃんの事を分かってくれているから」
「それは仕事の上ででしょ。高取さんがプライベートで心から愛することが出来るってことを自分で気づかないといけないわ。そうでないと、彼は自分が恋をしていいというのに気づかないでしょう。誰もが恋をする権利はあるのに。高取さんはそれを放棄している」