君をひたすら傷つけて
 自分の気持ちを吐露してぐっすりと眠ったからかもしれないけど、私の心は静かに落ち着いていた。リズは私の横に寝ていて、後ろから抱き寄せるようにお腹の当たりに手をまわしていた。ぐっすりと眠れたのは薬のせいだけでなく、リズのくれたぬくもりもあるだろう。枕元に置いたままのずっと電源を切っていた私の携帯に手を伸ばした。

 指を動かして電源を入れると、いくつかのメールや連絡は入っていたけど、アルベールからの連絡は何もなかった。アルベールのことだから、私の気持ちが落ち着くのを待ってくれていたのだろう。

『今日の夕方五時にホテルのロビーにあるカフェで会えますか?』

 アルベールからの返信はすぐで、『わかった』とだけあった。私がきゅっと自分の身体を抱きしめると、私の身体はふわっと後ろから抱きしめられた。リズの方に身体を向けると目の前に綺麗なリズの顔があった。目は閉じられているけど、きっと起きている。

「アルベールに会うことにしたの。自分の気持ちを伝えてくる。そして、これからのことはそれから考える」

 リズは何も言わずにただ、ゆっくりと自分の腕に力を込め、私の身体を抱き寄せた。そして、そのふくよかな胸に頬を寄せ、私はリズのシャツを濡らした。震える身体はいつまでも指先が冷たいままだった。
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