君をひたすら傷つけて
「今日、事務所の前で会ったから」

「そう。まあ、三か月だから、高取さんにしては持った方じゃない?雅のアルベールと別れたことを言いにくいのかもしれないけど、高取さんの立場からするときっと前から知っていたと思うわ。それに、恋とか愛とかはタイミングでしょ。ただ単にタイミングが合わなかっただけだし、そのことを他人に何を言われる必要もないでしょ」

「お兄ちゃんはアルベールと私のことを考えて二度と会わないと言っていたの。それなのに私はすぐに別れたし。それなのにどんな顔して会えばいいの?」

「別にタイミングが合わなかっただけで、雅が悪いわけでもアルベールが悪いわけではないでしょう。それなのに、避ける理由もないと思う。それにそろそろ本格的に仕事をして貰いたいの」

「仕事?」

「そうよ。うちの事務所は仕事を選べるレベルではないから、片っ端から仕事を受けたいけど、半分を受け持つ雅が高取さん関係の仕事を全部避けるとなると、会社的にも打撃なの。ささっと高取さんと仲直りして、仕事を取ってきてよ」

「仕事を取ってくるなんて」

「だって、あの篠崎海が雅と一緒に仕事をしたいと言っていたのよ。それも専属のスタイリストよ。その大きな魚を逃すバカは居ないでしょう。大きなプロダクションにこれ以上ないくらいの太いパイプは最大限利用しないと」

「高取さんとは仕事の関係で居たくないの」

「ん?それじゃどんな関係で居たいというの?男と女の関係?」

「尊敬しあえる関係でいたいの」

「甘いと思っていたけど、そこまでおめでたいとは思わなかった。リズだけでなく雅の周りにいる人間が甘やかしたのね」

 
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