君をひたすら傷つけて
 そういうと、お兄ちゃんはまた視線をパソコンの画面に視線を落とし、真剣な表情をした。私はコーヒーを頼むと、お兄ちゃんの前で携帯を開いた。私も私で明日の仕事の確認をしようと思って、会社のスケジューラーを開くと、明日あったはずの仕事から私の名前が削られ、そこにはエマの名前が入っていた。

 明日、出社しないでいいと言っていたのは口先だけではなかったようだった。そんな気をまわす必要ないと思うけど、今からの話の流れ次第だとも思った。アルベールのことを聞いてくるかどうかわからないけど、その話をするなら、かなり時間が掛かるだろう。

 別に報告する必要はないのに、私はそんなことを考えてしまう。

 お兄ちゃんは私がスケジューラーの確認をしている間に手早く仕事を終わらせたようだった。本当に必要な仕事だけを終わらせたようで、パソコンの電源を落とすとアタッシュケースの中にパソコンを片付けた。

「終わったよ。自分から誘ったのに待たせて悪かった」

「それはいいけど、仕事は終わったの?」

「とりあえず急を要するものだけは終わった。さ、何を食べに行こうか?。和食にするか?それともフランチかイタリアン?雅の好きなものでいいぞ」

「あんまり敷居の高い店はキツいから、普通の居酒屋かなんかがいい」

「わかった。でも、接待以外で食事には行かないから、雅の好きそうな居酒屋になるかどうかわからないけどいいか?」

「うん」
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