君をひたすら傷つけて
 アルバムを見ていくうちに涙が溢れた。でも、でも、あの時よりも苦しさは薄れていたのかもしれないけど、まだ私の中では義哉が生きている。苦しくなるほどの色鮮やかな思い出はふとした瞬間に零れ落ちていく。

 君をひたすら傷つけて。

 この言葉の意味は時間が過ぎると共に感じる。好きという言葉だけでは足りないくらいの思いを私は今も心に思う。

「大丈夫か?」

「うん。大丈夫。お兄ちゃんはこのアルバムをよく見るの?」

「いや。義哉が居なくなってから、開くのは初めてだ。実家の母が見ながら泣くので俺の部屋に持ってきたけど、俺も開くことが出来なかった。俺が一番、義哉のいない時間を過ごしている。あの日のことは忘れられない。雅と出掛けることを楽しみにしていた義哉は浮かれていて、饒舌で……」

 目を逸らすことの出来ない現実があって、うまく言葉に出来なかった。心に浮かぶ言葉は浮かんでは消えていく。簡単に言えない言葉が心に浮かんだ。

「こんな話はするべきじゃないな」

「あれから時間が過ぎていく度に義哉のいない時間を感じる。でもね、一生懸命に生きたいと思うの。義哉のいない時間を無駄にしたくないの。私よりも誰よりも行きたいと思っていた義哉のことを思うと、頑張らないとか考えられないの」

「雅らしい。でも、もっと楽に生きたらいい」

「その言葉、お兄ちゃんにそっくり返すわ」
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