君をひたすら傷つけて
『手伝うのはいいけど、家具とか人目に付くでしょ?』

『すべて閉店後に買い物できるように手配する』

『わかった。じゃ、連絡があるまで、私は事務所で片づけをしているから」

『こんなことは雅にしか頼めないから助かるよ。じゃ、そろそろ海が戻ってくるから』

『うん』


 そこでお兄ちゃんの電話が切れた。出会って、この展開は正直凄いと思う。ニューヨークでの撮影の時に篠崎さんの行動力は感じたけど、まさか、これほど突飛なことをするとは思わなかった。

 婚姻届に指輪に、家具。それと衣装か。服じゃなくて衣装。

 本気なんだとお兄ちゃんも分かっているから、私に連絡してきたのだろう。それにしても何がどうなったら、そんなことになるのか全く分からない。篠崎さんの選んだ人がどんな女の子か興味はあった。

 お兄ちゃんは何があっても篠崎さんを守ろうとするだろうし、色々言ったとはしても、最後は篠崎さんの好きなようにさせると思う。

 ただ、篠崎さんのため。お兄ちゃんは動くだろう。それがお兄ちゃんだから、仕方ない。

 そんなことを考えながら、私はエマの事務所で書類の整理をして、それから掃除をすることにした。しばらく仕事が忙しくて、殆ど事務所には来なかったけど、久しぶりに来るとその荒廃ぶりが目に付くようになっている。まりえが妊娠したことによって、事務所に来れる時間が減った分、何というか、

 荒れた。

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