君をひたすら傷つけて
「もう雅の部屋はリザーブしてある。海と私とは階が違うが」

「私の部屋を?」

「ああ。雅が傍に居てくれた方がいい。でも、自由に動いていいから」

 こうやってお兄ちゃんは私を甘やかす。だけど、お兄ちゃんの傍に居たら安心だし、仕事もし易いと思う。でも、近すぎるとも思う。

「その方がいいなら、その通りにする。いつもありがとう。お兄ちゃんも観光に行くの?」

「ホテルのことは気にしないでいい。必要経費だから。それと、観光には多分行かないと思う。
 海がしばらくは映画の台本に夢中だから部屋から出ないだろう。監督の求めるラインが厳しくて、それに海は応えようと必死だよ。そんな、海の傍に居たいと思う。セリフも全部入っているのにボロボロになるほど台本を読み込んでいる」

「そうなのね。ニューヨークでも思ったけど、本当に真剣に仕事をするね。でも、篠崎さんもお兄ちゃんも出歩かないのに、私だけは申し訳ないよ」

「それに関しては気にすることない。私もいくつかの仕事を抱えているから、それを終わらせたいと思っている」

「私も仕事あるし」

「雅の好きにしたらいい。
 撮影に使う衣装は既にクライアントから提供されてあるものもあるから、その中で決めないといけないから、大変だろうけど、役のイメージを崩さないように提案して貰えると助かる」

「それが私の仕事だし」

「そうだな。それと里桜さんの件は本当にありがとう。無事に引っ越しが終わったと聞いて、海もホッとしていた」


 
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