君をひたすら傷つけて
お兄ちゃんの運転で私は助手席に乗り、篠崎さんと里桜ちゃんは後部座席に座った。車の中で篠崎さんが話し出したのはこれからの会見のことではなく、京都でのことだった。撮影のことでもなく、何度も通ったラーメン店のこと。スープが澄んでいて美味しかったとか、ネギの甘さに驚いたとか。なんでこのタイミングなのかと思ったけど、バックミラー越しに見える里桜ちゃんが少し顔を綻ばすのを見て、篠崎さんも綻ばす。
「美味しくて食べ過ぎてしまって、スーツが入らなかったらどうしようかと思ったよ。でも、入ってよかったなって思う。今度は里桜も一緒に行こう。あの店は食事がどうでもいいと思っている高取が一緒に行く店だからお墨付きだよ」
「食事がどうでもいいと思っているってなんだ?地方でのロケは現場だけでなく、本社とも連絡を取りながらだから、倍は忙しい。だから、ホテルの部屋で終わらせることが多いだけだ。海は誘われたら殆ど断らないから、色々行っていると思うが。そろそろ到着する」
お兄ちゃんの運転する車は裏口の関係者のみが使うことの出来る入り口から入ると、ホテルの地下駐車場に入っていく。裏口からホテルの中に入るとお兄ちゃんは最新の注意を払いながら、結婚会見を行う宴会場の隣にある控室に入った。
そこには何度か挨拶をしたことのある篠崎さんの芸能事務所の社長がソファに座って待っていた。
「遅くなりました。お待たせしましたか?」
「いや、私も今来たところだ。篠崎くん。そちらが君の婚約者だろう。彼女を紹介してくれるか?」
「美味しくて食べ過ぎてしまって、スーツが入らなかったらどうしようかと思ったよ。でも、入ってよかったなって思う。今度は里桜も一緒に行こう。あの店は食事がどうでもいいと思っている高取が一緒に行く店だからお墨付きだよ」
「食事がどうでもいいと思っているってなんだ?地方でのロケは現場だけでなく、本社とも連絡を取りながらだから、倍は忙しい。だから、ホテルの部屋で終わらせることが多いだけだ。海は誘われたら殆ど断らないから、色々行っていると思うが。そろそろ到着する」
お兄ちゃんの運転する車は裏口の関係者のみが使うことの出来る入り口から入ると、ホテルの地下駐車場に入っていく。裏口からホテルの中に入るとお兄ちゃんは最新の注意を払いながら、結婚会見を行う宴会場の隣にある控室に入った。
そこには何度か挨拶をしたことのある篠崎さんの芸能事務所の社長がソファに座って待っていた。
「遅くなりました。お待たせしましたか?」
「いや、私も今来たところだ。篠崎くん。そちらが君の婚約者だろう。彼女を紹介してくれるか?」