君をひたすら傷つけて
「こちらは僕と結婚することになった藤森里桜さんです。里桜。こちらは俺がお世話になっている事務所の代表である土浦さんだよ」

 篠崎さんがそういうと、土浦社長はゆっくりと立ち上がり、里桜ちゃんの方に手を差し出した。そして、里桜ちゃんが握手をすると、穏やかに微笑んだ。大きな事務所を纏めているだけあって、社長の雰囲気は優しく。そして、強い。

「お会いできて嬉しいです。里桜さん。私は篠崎くんの所属している芸能事務所の代表を務めています。土浦と言います。今回はこちらの不手際でご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「藤森里桜です。こちらこそよろしくお願いします」

「篠崎くんととてもお似合いだと思いますよ。高取。手順の打ち合わせをしないといけない。篠崎くんのこれからの事もあるし、今はこの状況をどうにかしないといけない。里桜さんは藤堂さんにお願いして、高取は二人を控室に案内してから会見場に来るようにしてくれ」

「里桜さんと藤堂さんを控室に案内してから会見場に向かいますので先に行っておいてください。さ、里桜さん。行きましょう」

 お兄ちゃんが案内してくれたのは会見場から離れたホテルの一室だった。普通のツインルームにソファがあり、目の前にはテレビが置いてある。ここで会見場の様子は見ることが出来る。

「こちらの部屋にあるディスプレーで会見を見ることが出来ます。お飲み物はルームサービスを利用されてください。すみませんが、これで失礼します」

 お兄ちゃんは本当にそれだけ言うと、私と里桜ちゃんを部屋に置いたまま出ていってしまった。
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