君をひたすら傷つけて
「社長が里桜さんの件については根回しをしていると思う」

「して貰わないと困るな。ディレクターに挨拶に行ってから、準備をする。海と私は先に挨拶に行くから、雅は控室で準備を」

「わかったわ。先に控室に行くわ」

 テレビ局は夜中とは思えないくらいに局の中が騒がしい。俳優の電撃結婚とはいえ、緊急生放送をするのは篠崎さんだからだと思う。

「雅さん。色々ありがとうございます」

「いいのよ。里桜ちゃん。大丈夫だった??」

「里桜は笑って見送ってくれたけど、俺の方がダメです。里桜の傍に居たかった」

「里桜ちゃんはそんなに篠崎くんに思われて幸せね」

「そうだといいのですが」

 里桜ちゃんのことを思い出したのか、ふわっと綺麗な微笑みを浮かべた篠崎さんは本当に魅力的だった。視線を離せなくなるほどの引力を感じる。

「先に控室にいますね」

「はい。ありがとうございます」

『篠崎海。緊急生放送。電撃結婚の真相に迫る』

 そんなセットの作られた席を見てから、私は控室で篠崎さんがくるのを待つことにした。お兄ちゃんは篠崎さんと社長と一緒にテレビ局のディレクターと一緒に打ち合わせをしている。婚姻届を提出してすぐの生放送となると、かなりの視聴率は見込まれる。

 私は持っていた道具を篠崎さんの控室に持ち込んだ。本当なら事前打ち合わせをするけど、そんな時間もないので、取り合えず、シャツやスーツ。靴などの必要かもしれないものは準備した。
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