君をひたすら傷つけて
篠崎さんと里桜ちゃんは最初は偽装結婚だったのに、今では二人の間に流れる空気が温かく幸せそうだ。パスポートの写真を撮りに行った時も、里桜ちゃんは今までとは違っていた。愛されて、幸せそうに微笑んでいた。前も可愛い女の子だったけど、会うたびに可愛らしくなる。
「少し羨ましいな」
そんな言葉がぽろっと零れた。ビールに酔っているはずはないのに、微かなアルコールが思考を縛っていく。幸せに向かって歩いていくのをみるのは嬉しいし、その手伝いが出来るのも嬉しい。でも、どこかに羨ましいと思う気持ちもある。
義哉は亡くなり、アルベールは……好きだったけど、愛していると思ったけど、こうして日本に帰ってきて、アルベールの実業家としての活躍を知ると不思議と応援したい気持ちになる。義哉のように思えるかといえば、それとは違って、焦がれるような、胸の奥が掴まれるような痛みはない。
ただ、優しい気持ちになれるだけ。
「雅も年頃だから、羨ましいと思うのは普通だと思うよ。いつか、雅に好きな人が出来たら、全力で応援する。里桜さんに負けないくらいに幸せになれる」
お兄ちゃんの話を聞きながら、義哉に恋をし続ける私はもう恋は出来ないと思う。でも、心配させたくなかった。義哉のことだけでもたくさんの心配をしてきたお兄ちゃんに、私の心配までさせたくなかった。
「そうね。お兄ちゃんにはお祝いをたくさんして貰わないと」
「もちろんだよ」
「じゃ、お兄ちゃんが結婚する時は私がお祝いするね」
「結婚はするつもりはない」
「なんで?」
「仕事が好きだから」
「少し羨ましいな」
そんな言葉がぽろっと零れた。ビールに酔っているはずはないのに、微かなアルコールが思考を縛っていく。幸せに向かって歩いていくのをみるのは嬉しいし、その手伝いが出来るのも嬉しい。でも、どこかに羨ましいと思う気持ちもある。
義哉は亡くなり、アルベールは……好きだったけど、愛していると思ったけど、こうして日本に帰ってきて、アルベールの実業家としての活躍を知ると不思議と応援したい気持ちになる。義哉のように思えるかといえば、それとは違って、焦がれるような、胸の奥が掴まれるような痛みはない。
ただ、優しい気持ちになれるだけ。
「雅も年頃だから、羨ましいと思うのは普通だと思うよ。いつか、雅に好きな人が出来たら、全力で応援する。里桜さんに負けないくらいに幸せになれる」
お兄ちゃんの話を聞きながら、義哉に恋をし続ける私はもう恋は出来ないと思う。でも、心配させたくなかった。義哉のことだけでもたくさんの心配をしてきたお兄ちゃんに、私の心配までさせたくなかった。
「そうね。お兄ちゃんにはお祝いをたくさんして貰わないと」
「もちろんだよ」
「じゃ、お兄ちゃんが結婚する時は私がお祝いするね」
「結婚はするつもりはない」
「なんで?」
「仕事が好きだから」