君をひたすら傷つけて
エマとリズは仕事の関係でたくさんの衣装を持っている。エマの事務所の倉庫にはたくさんのドレスがある。私はイタリアに行くなら、そこから何着か持っていくつもりだった。サンプルとかあるし、自分で少し手直しすれば、着れるものもある。
スタイリストの事務所に衣装があるのは当たり前だし、それを借りることは容易だった。だから、新しく服やドレスを用意するつもりはなかった。イタリアの映画祭であっても、結婚式であっても、衣装には困らない。それだけの数がこの事務所にはある。
「なんで?」
「たまにはいいだろ。雅も綺麗な服を着てみるのも」
「確かにそうだけど、本当にいいの?ドレスって結構高いよ」
「ドレスをプレゼントするくらいの給料は貰っているから大丈夫だよ」
「ありがとう」
「ああ。さ、そろそろ、仕事に行くよ。じゃ、今日の午後六時半に阿部さんのアトリエでいいか」
「もう一度連絡しておくから大丈夫」
お兄ちゃんは穏やかに微笑んでから、一度、自分の部屋に戻ると、それからスーツを着込み、敏腕マネージャーの雰囲気を纏わせながら、マンションから出ていった。私はソファに座ると、自分の頬に掌を寄せた。
「新しいドレスかぁ」
天井を見上げると、静かに時間が過ぎていた。
優しくされれば、されるだけ、幸せだと思う反面、お兄ちゃんの傍を離れられるかどうかも、不安になってきていた。
スタイリストの事務所に衣装があるのは当たり前だし、それを借りることは容易だった。だから、新しく服やドレスを用意するつもりはなかった。イタリアの映画祭であっても、結婚式であっても、衣装には困らない。それだけの数がこの事務所にはある。
「なんで?」
「たまにはいいだろ。雅も綺麗な服を着てみるのも」
「確かにそうだけど、本当にいいの?ドレスって結構高いよ」
「ドレスをプレゼントするくらいの給料は貰っているから大丈夫だよ」
「ありがとう」
「ああ。さ、そろそろ、仕事に行くよ。じゃ、今日の午後六時半に阿部さんのアトリエでいいか」
「もう一度連絡しておくから大丈夫」
お兄ちゃんは穏やかに微笑んでから、一度、自分の部屋に戻ると、それからスーツを着込み、敏腕マネージャーの雰囲気を纏わせながら、マンションから出ていった。私はソファに座ると、自分の頬に掌を寄せた。
「新しいドレスかぁ」
天井を見上げると、静かに時間が過ぎていた。
優しくされれば、されるだけ、幸せだと思う反面、お兄ちゃんの傍を離れられるかどうかも、不安になってきていた。