君をひたすら傷つけて
「車は二台だよ。先のに、雅と神崎で、後のに、運転は私で、後部座席には海と里桜さんで。先に着いたら、とりあえず、コースは頼んでいるけど、足りないと思うから、好きなだけ注文していていいから」

「やった。俺、一杯食べますよ」

「好きなだけいい」

 お兄ちゃんに言われたように、私は神崎くんと一緒に車に乗り込むと、神崎くんはチラッと後ろを見てから、車を動かした。思ったよりも運転への動作はスムーズで私はいい意味で予想を外された。もっと無茶な運転をするかと思ったけど、丁寧な運転だった。

「神崎くんの運転は初めてだけど、上手いのね」

「高取さんの運転に乗り慣れている雅さんに褒められると嬉しいですね。それにしても、里桜さんは見るたびに綺麗になりますね。こんなに短期間に変わっていく女の子は被写体として面白いです。今日のドレスも似合ってました。見た目は普通なのに、カメラのファインダーを通すと本当にいいんです。綺麗なだけの女ならいくらでもいるけど、里桜さんは面白い」

「篠崎くんが溺愛しているからかもね。実際に初めて里桜ちゃんに会った時より、今の方が数段可愛いし、綺麗にもなっている」

 初めて会った時の里桜ちゃんは精神的にも厳しい状態だったし、この傷ついた女の子を助けてあげたいと本気で思った。でも、今は、篠崎さんの愛に包まれて大きく成長しようとしている。

「他人事のように言ってますが、雅さんも高取さんに溺愛されているじゃないですか」

「高取さんが私を溺愛??それは違うわ。高取さんは私が高校生の時から知っているから、妹のようなものだと思うわ。だから、一緒に住んでいても何もないし」
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