君をひたすら傷つけて
「神崎くん。大丈夫かな」

「大丈夫だろ。コンビニはすぐ近くだし。あいつは酒に強い。さ、そろそろ出ようか。神崎の車は代行で帰らせるから、雅は助手席でいいかな。海のマンションに送ってから帰るから」

「うん」

 席で会計まで終わらせると、店の人に案内されて店を出た。

 以前に篠崎さんと里桜ちゃんが写真を撮られた場所ではあったけど、マスコミは居なかった。篠崎海の結婚会見をする代わりにプライベートは守られることになった。もしも、篠崎海のプライベート写真が出回るようなことがあれば、訴訟問題になる。そして、篠崎海の事務所がその雑誌、テレビなどに事務所のタレント俳優、歌手が出ないことになっている。最大手事務所を敵に回すような愚は起こさないだろう。

 それだけ篠崎さんは里桜ちゃんを守ろうとしていた。

 会計まで終わらせて店を出ると、そこには神崎くんが待っていた。少し酔っているのか気持ちよさそうに目を閉じている。

「神崎。大丈夫か?もうすぐ代行が来るから」

「大丈夫です。ごちそうさまでした。代行もありがとうございます」

「ああ。バイト代だから気にしないでいい。でも、きっちりと今日の写真でアルバムくらい作ってこいよ」

「アルバムですか?篠崎さんは抜け目ないですね。でも、焼肉が美味しかったからばっちり作ってきます。楽しみにしといてくださいね。で、これは先にプレゼント」

 そういうと、篠崎さんのポケットに一枚の写真を差し込んだ。そして、神崎くんは楽しそうに微笑みながら、代行の車で帰っていった。
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