君をひたすら傷つけて
「そうなの?」

「最初、あのマネージャーが連絡してきて、その後に、篠崎海本人が電話を掛けてきた。大事な人の素敵なドレスを贈りたいって。それだけでなく、時間が無くて申し訳ないが、是非とも引き受けて欲しいって。俺のホームページもチェックしてあって、いくつかのドレスを見せて欲しいと言われたよ。
 そこまで言われたら頑張らないといけないだろ。でも、二人を見てからでないと引き受けられないって言ったら、すぐに時間を作ってきた。凄いな。彼の行動力は」

 私が知らないところで篠崎さんの思いは爆走しているらしい。でも、神崎くんまで写真撮影に借りだすくらい。でも、それが少し羨ましい。そんな気持ちを振り払うようにデザイン画を見ているとその中の一枚が気になった。

「私はこっちの方が里桜ちゃんには似合う気がする」

 私が気に入ったのは、雅人の言う篠崎さんと並んだ時のイメージだった。花弁が舞い散るように重ねられたオーガンジーを幾枚も重ねたドレスは清楚で在り、女の子としての可愛らしさもある。それにパニエはイタリアで調達すれば、ドレス自体はコンパクトに収納出来そうなので持ち運びにも困らない。スタイリストとしても都合がいいデザインだった。

 日本ではなく場所はイタリア。それも考えて色々と動かないといけない。こういう時にリズと一緒にコレクションの仕事をしていた頃の経験が役に立つ。

「雅がそういうなら、こっちのデザイン画を中心に検討するよ。デザイン画が電話を掛けてきた。気に入って貰えたら、パターンを起こして、そこから仮縫いまで一気にするよ。時間がない分、ある程度、進めていく。このドレスを篠崎さんと里桜さんが喜んでくれたらいいけど」

「デザイン画だけでも篠崎さんも里桜ちゃんも喜ぶと思うわ」
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