君をひたすら傷つけて
「雅の言うとおりだけど、俺はどうにかして、海の願いを叶えてやりたいと思う」

「お兄ちゃんに前々から聞いてみたいことがあったの」

「ん??」

「篠崎海という俳優が実力にも魅力にも溢れているのは分かる。でも、担当マネージャーとしての域を超えている気がするの。何でかなって。単純な疑問」

お兄ちゃんに聞いてみたいことだった。どうして、篠崎海がそんなにいいのか、そこまでお兄ちゃんの心を駆り立てるものは何かを……。

「雅も知っていると思うが、海の両親は他界している。俺が海に出会ったのは海の父親が亡くなる少し前だった。海がモデルを始めたのは自分の学費を稼ぐためで、そのきっかけは大学の同級生で、当時はモデルとして人気絶頂だった橘聖に誘われたからだよ。
 海が俳優に仕事が決まった頃から俺が正式にマネージャーになった。自分が育てた俳優だから、思い入れも一入なのだと思う」

 ご両親が亡くなったから?
 自分が俳優として育てたから??

 なんか違う気がする。

「……。雅はそんな答えは望んでないな。海は……。義哉の代わりだ。俺が俺であるために勝手に海を利用している。世話を焼きながら、自分の心を慰めている。義哉の居なくなった穴が今もまだ埋まらない。どれだけ時間が過ぎても……。苦しさは、心の空洞は埋まらない。海の世話をすることで、自分の中で義哉にしてやりたかったことをしてやることで自分を慰めている」

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