君をひたすら傷つけて
 お兄ちゃんに聞いてはいけないことかもしれないけど、私はどうしても知りたかったことだった。仕事人間というだけでは収まりのつかない行動の数々が全て心の傷だった。私よりももっと長い時間を義哉と一緒にいたお兄ちゃんが傷つかないわけはなかった。

「そう。でも、お兄ちゃんらしい」

「海も里桜さんと出会って、幸せへの道を歩き出した。その姿を見ながら、フッと肩の力が抜けたんだ。結婚式が終われば俺も少しは楽になると思う。後は雅が幸せになってくれたら、本当に俺も落ち着ける」

「私は今、とっても幸せだから、私のことより、お兄ちゃんも自分が幸せにならないと」

「義哉を失った時に、世界の全てを恨んだ。あんなに必死に生きていた義哉の命を簡単に奪っていった運命を呪った。この世の全てを恨んだ。でも、あの時、俺が自暴自棄にならずに済んだのは雅が居たから。傷つく雅を守りたかった。雅と食事に行ったり、出掛けることで自分を支えた。
 雅がパリに行ってから、少しして、海のマネージャーになり、それで自分を支えた。海を一流の俳優に育てることだけが生き甲斐だった。

 俺は弱い人間なんだ」
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