君をひたすら傷つけて
 アルベールはいつも優しい。でも、その優しさに応えられない。アルベールの優しさに甘えれば幸せになれるのは分かっている。でも、私は……。アルベールが大事だからこそ、利用はしたくなかった。

「日本にマンションを買うから、そこに住んで欲しいって。自分が大家になるから、そこに住むのも高取さんのマンションに住むのも一緒だろって言われた」

「まあ、一理あるわね。セキュリティのいいマンションなら高取さんのマンションでもアルベールのマンションも同じでしょ」

「それで気付いたの。私、そろそろ、高取さんのマンションを出ることを考えないといけないって」

「まあ、恋愛感情のない独身の男女が一緒に住んでいるというのは微妙よね。お互いに今後、恋愛をしたとして、相手に一緒に住んでいる人が居るなんていえないだろうし。いくら、兄妹ような関係と言っても、実際には血縁はないんだし」

 独身の男女で恋愛関係がない。
 兄妹のような関係だけど、実際には血の繋がりはない。

 初恋の人のお兄さんに何年も甘え、今は一緒に住んでいる。

 篠崎さんと里桜ちゃんの結婚式までは落ち着かなかったけど、落ち着いたら、私はお兄ちゃんのマンションを出ようと思った。

「リズの言うとおりね」

「でも、人と人との関係なんて、言葉で表現するのは難しいものよ。高取さんと雅で話し合って色々と決める方がいいわ。雅の気持ちもだけど、高取さんの気持ちも大事でしょ」

「日本に帰ったら、ゆっくりお兄ちゃんと話してみる。マンションを出るにしても話し合ってから決める」

「それがいいわ」

 リズと話をしていると、教会の前に車の止まる音が聞こえた。
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