君をひたすら傷つけて
 私は里桜ちゃんをその場に残し、お兄ちゃんの元に向かうことにした。今のところ、時間通りに動けているけど、この後のスケジュールの変更がないか、聞いておきたかった。リズが来てくれたことで、里桜ちゃんの準備はスピードアップするだろう。その事も伝えないといけないと思った。

「お兄ちゃん。篠崎さん。神崎くん。お疲れさまでした」

 お兄ちゃんは車の中から荷物を降ろし、それを教会に持ち込んでいるところだった。篠崎さんの手にも荷物があり、神崎くんも大荷物だ。

「雅。色々と大変だったろう。ありがとう」

 お兄ちゃんの声を聞くと、フッと顔が緩むのを感じた。

「里桜ちゃんのご両親は優しいし、久しぶりにローマの観光も出来たし楽しかったから、気にしないで。それと、篠崎さん。受賞おめでとうございます。それと、今日は結婚おめでとうございます」

 昨日、テレビ越しに見て篠崎さんよりも、今日の篠崎さんの方が輝きを増している気がする。大好きな里桜ちゃんとの結婚式で幸せが零れ落ちそうなくらいに溢れていた。ただでさえ、綺麗な顔が幸せに輝くとこんなにも変わるのかと思った。

 被写体としては垂涎物だろう。

「ありがとう。雅さん。雅さんが里桜をミラノに行かせてくれたおかげで楽しい時間を過ごすことが出来たよ。それに、今からもよろしく」

「それならよかったです。今から里桜ちゃんの準備に入りますが、リズが来てくれたので、里桜ちゃんの準備は予定より早くできると思います。篠崎さんの方は大丈夫ですか?」
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