君をひたすら傷つけて
「里桜。さっきあげたガーターは海斗に取って貰いなさいね。ここには投げる相手が少ないからする必要はないけど、二人で楽しんで」

 リズの言っているのは結婚式の時に里桜ちゃんにプレゼントしたガーターベルトのこと。青いリボンがついてとっても可愛かった。それは今もまだ、里桜ちゃんの足にあるのだろう。ガータトスとは新郎がゲストの目の前で新婦のガーターベルトを外す。つまりは新郎がゲストの目の前で新婦のドレスの中に潜り込み、外して未婚の男性に投げるのが基本的な内容だけど、ガーターベルトの外し方が、少し恥ずかしい。

 手ではなく新郎の口で外すのがルールだから……。私も内容は知っているけど、実際に見たことはなかった。

 リズが揶揄うように言うと、里桜ちゃんはぽっと頬を染め、耳まで桃色に染めた。ヨーロッパでの風習も日本では馴染みがない。本当にリズは人が悪い。

「俺が責任を持って取りますからご心配なく」

 真っ赤になる里桜ちゃんの横で篠崎さんは平然というから、リズは一瞬目を大きく開いて、それから口の端を上げ、クスクスと笑いだした。

「海斗は日本の男にしてはセクシーね、さすが、聖の友達ね。聖は最初に会った時からセクシーだったけど」

「聖には敵いませんよ」

「あなたも負けてないわ。……。里桜ちゃん。里桜ちゃんへのプレゼントはホテルの部屋に届けさせてあるから」

「え?」

「さ、もう少し料理を取ってこようかな。雅はもう少し食べないと」

「俺も一緒に行きます。里桜は雅さんとそこで待ってて」
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