君をひたすら傷つけて
「リズの老後って想像出来ない」

 リズは綺麗でパワフルで……。そして、いつも私のことを考えてくれる。出会った時からずっと私のことを大事に思ってくれる。出会って随分時間は経つけど少しも変わらない。何を飲んだらあんなに美貌を保てるのか知りたい。

「あら、誰しもいつかは老いるものよ。多少足掻くことはあったとしても、最大限、足掻く。それでも老後の楽しみは欲しいの」

「そんな日が来ればいいけど、私は結婚とか考えられないし、今の私は自分のことで精一杯なの」

「今はそれでいいと思う。さてと、そろそろ私は空港に行かないと間に合わなくなるわ」

「時間大丈夫?」

「大丈夫。でも、本当は雅にもう少しついていてあげたかったけど」」

「私は大丈夫。だから、リズもディーさんのコレクション頑張って」

「もちろんよ。次回のコレクションは雅もスタッフとして入りなさい。いい勉強になるから。

 雅。エマは色々言うかもしれないけど、雅が望むならイタリアの事務所で働いてもいいのよ。日本だけでなく、フランスでもイタリアでもどこでも働ける。それだけの知識と技術を雅は持っている。だから、自分のことを決める時に好きなようにするのよ」

「分かったわ」

「アルベールじゃないけど、高取さんのマンションを出るなら、私のところに来なさい。マンションでもアパルトマンでも準備する。もちろん家賃は貰うから」

「え?」

「日本に帰ったら、高取さんのマンションを出るつもりなんでしょ。雅の考えていることくらい分かるわ。でもね、高取さんのマンションを出るなら、必ず、きちんと話をしてから出るのよ」

「リズ……」

 リズは私の手をそっと握ると、綺麗な顔で微笑んだ。

「私は雅が大好きよ」

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